NC旋盤ってどんな仕事?派遣でもできる?
掲載日:2022年11月24日
更新日:2022年11月24日
1. NC旋盤とは
[旋盤加工について]
旋盤加工とは切削加工の一種で、素材や刃物を回転させて素材を切ったり、削ったりする加工のことをいいます。
旋盤加工は制御方式の違いから2種類(汎用旋盤とNC旋盤)、加工方式の違いからさらに2種類(旋盤とフライス盤)に分けることができます。
つまりNC旋盤、NCフライス盤、汎用旋盤、汎用フライス盤の計4種類に分けられます。
NC旋盤と汎用旋盤では制御方式が異なり、NC装置が組み込まれた機械をNC旋盤、NC装置が組み込まれていない機械を汎用旋盤と分けることができます。
NC旋盤はコンピュータによる数値制御(Numerical Control)を用いたもので、
コンピュータを内蔵した機械があらかじめプログラムされたとおりに素材を加工する方式です。
一度プログラムに組み込んでしまえば同じ製品の加工に必要な制御はコンピュータが自動で行ってくれます。
そのため旋盤に作業者が付きっ切りで作業をする必要がなくなり、一人で複数台の機械を担当することができるので、
より少ない人員で工場を動かしたり、同一品質の製品を大量生産することができます。
また設定すれば経験の少ない新入社員や派遣社員でも同一品質の製品を生産することができるのもメリットです。
また精度の高い加工ができ、これにより従来では難しかった部品の加工が可能となりました。
一方、汎用旋盤は設計図をもとに手計算と長年の経験に基づいて、
旋盤工がハンドルなどを手動で操作して加工する方式です。
長期間の訓練を積まないと製品として生産することは難しいため、NC旋盤に比べ経験の浅い新人が派遣されることは難しいでしょう。
ひとつひとつ手作業で加工自体には時間を要しますが、段取りの時間は短く、
加工しながら精度の確認ができるため、試作品や短い納期に対応することができます。
また小ロットだけを製作する場合や特殊な素材を加工する場合に需要があります。
仮に同じ金属であっても、ひとつひとつ素材によってわずかな違いがあり、
そのようなわずかな違いを見分けながら加工に微調整を加えるといった作業はコンピュータでは難しいため、
技術と経験を持った旋盤工による加工が必要になります。
また旋盤とフライス盤では加工方式が異なり、
旋盤では加工したい素材を回転盤に固定し、素材を回転させながら切ったり、削ったりします。
素材の内径(穴の内側)と外径(穴の外側)を同時に削り出したり、正円状の仕上がりを求められる製品を加工するのに適しています。
フライス盤は素材を回転させるのではなく素材を削るための刃物を回転させます。
操作の自由度が高く精密に加工できるため、機械部品の加工や角のある製品に適しています。
[CNC旋盤とは]
旋盤にコンピュータ制御装置を取り付け、自動加工する機能を持たせたものがCNC(Computerized Numerical Control)旋盤です。
複数、刃物を取り付ける刃物台(タレット)により、様々な加工を自動で行える点が特徴です。
NC旋盤が登場した当初は、プログラムの制御は基盤単体ごとの動作の組み合わせによって行われていました。
制御用のコンピュータが工作機械に内蔵されるようになると、コンピュータ制御装置が内蔵されたものをCNCと呼び、NCと区別するようになります。
現在はCNC旋盤が主流です。
そのため、あえてCNCと表現する必要がなくなり、NC旋盤といえばCNC旋盤を指す場合が多くなっています。
2. NC旋盤工の仕事内容
NC旋盤は適切なプログラムを組んでボタンを押すと、機械が自動的に加工を始めます。
現在では、多くのNC旋盤が自動工具交換装置(ATC)を装備しているため、自動的に刃の交換を行ってくれます。
なのでNC旋盤を扱う旋盤工の仕事内容はおもに機械に正しく指示を出すためのプログラミングと、
作成したプログラム通りに機械が動作しているか、加工された製品が問題ないかを確認するオペレーティングの2つになります。
設計書や作業手順書をもとに手順を確認し、加工に関する様々な情報を記述したプログラムを作成します。
プログラミングにはNCプログラムの知識が必要になります。
最初は覚えることが非常に多いので苦労すると思いますが、
最近では数値入力をしなくても、半自動的にプログラムを組んでくれる
対話式プログラムが搭載されている機械もあるので、敷居は低くなったと思います。
また派遣会社の求人も多く存在するため、この機会に応募してみてはいかがでしょうか?
汎用旋盤では旋盤工自身の加工技術が重要でしたが、NC旋盤では旋盤工自らが切削するわけではないため、
同じ旋盤加工といえども重要なポイントはかなり異なります。
しかし汎用旋盤を扱った経験があると、効率的な加工手順をプログラミングすることができます。
確認作業では、プログラム通りに機械が動作しているか、製品が予定した仕様通りにできているかなどを確認します。
また機械に異常を感じた場合やはメンテナンス作業も行います。
比較的に大きい規模の工場などでは、プログラミング担当とオペレーティング担当が分かれていることがあり、
その場合はNC方式の未経験者や経験の浅い派遣社員の旋盤工はオペレーティング担当となり、NC旋盤の仕組みを覚えます。
3. 同期の派遣社員の話
僕の同期にNC旋盤の工程に配属された派遣社員がいました。
昼休みなどすれ違ったときはよく話をしていました。
そのとき「最初はプログラムという言葉を聞いて自分に務まるか不安に感じていた」と言っていました。
しかし最初は起点や曲線の中心点の座標を把握していれば問題なく、
プログラミングも仕事をこなすうちに段々と分かるようになっていったそうです。
同期は成長を実感できることが仕事のモチベーションにつながっていると言っていました。
また仕事では主に素材を持ち上げる作業が多いため、腕力がついたそうです。
ちなみに同期は派遣社員から期間工になり、正社員への登用を目指しているそうです。
汎用旋盤やプログラミングの技術力を持っていなくても働くことができるため、
定期的に新入職者や派遣社員が入ってくるそうですが、切削油という油の臭いがきつくて辞めてしまう人もいるそうです。
工場の入口と自分のラインの間にマシニングセンタがあったので、
僕もその横を毎日通っていましたが、たしかに切削油の臭いは強かったです。
また切削している際に油が飛散することで発生するオイルミストは人体や環境に悪影響を及ぼします。
もちろん工場側も対策しているため、皮膚が荒れたりすることはあまりありませんが、
臭いも人体への影響も個人差があるため注意が必要です。
同期は仕事から帰宅してすぐに作業服を洗濯してお風呂に入るなどの対策をしているそうです。
作業服に関しては以下で解説していますので、確認してみてください。
やっぱり夏は暑苦しい?
工場の作業服について
更新日:2022/08/23
旋盤加工は作業の速度というよりも加工の精度が求められます。
そのためライン作業のように作業を急いでやることはなく、加工自体は機械が行ってくれるため、
油の臭いや交代勤務などが大丈夫という方にはオススメの仕事といえます。
4. NC旋盤オペレーターになるために
旋盤工になるには職業訓練校や工業高校で経験を経て、工場で旋盤工になるケースが多いですが、
知識や経験が無くても派遣会社などを通じて旋盤工として就職することはできます。
その場合は、見習いとして現場で知識を覚えます。
また企業によっては旋盤工を育成する研修を実施しています。
学歴や経験以上に必要なのが、精密な加工をやり遂げるだけの集中力や緻密さで、
大雑把な性格の人は苦労することが多いそうです。
また、旋盤工になるために必須の資格はありませんが、
「機械加工技能士」の資格を取得すれば旋盤工としてのスキルを証明できるため、
ワンランク上の仕事をできたり何かと有利になります。
またNC旋盤工の年収は全体の平均年収が400万円台であることを考えると、平均よりやや低めの年収になることも考えられます。
ただし、技術や資格次第では600万円以上に稼げる職種であり、起業して独立することも狙えます。
現在、大量生産品についてはNC旋盤による加工が主流となりつつあるため、
これからの旋盤工にはプログラミングの知識が求められるでしょう。
一方で、試作品の製作や仕上げにおいては、汎用旋盤を使った職人自らの加工にも根強い需要があります。
またNC旋盤を扱う旋盤工を目指す場合であっても、汎用旋盤で身に着けた切削の知見はNC旋盤のプログラミングにも役立ちます。
この記事を読んで、NC旋盤に興味を持った方は派遣だけでなく正社員の求人も多数存在するので、ぜひ応募してみてください。
関連記事
製造業オペレーター職を
希望するときの
志望動機の作り方
更新日:2020/06/10
金属加工のお仕事で技術を
身につけスキルアップしよう
更新日:2022/11/15
マシンオペレーターで年収600万円稼げる?
更新日:2022/11/15